うつ病の識別の困難さ
自律神経失調症は測定機器によって識別することが可能であるので、判断の識別がつきやすい症状です。しかし、うつ病のような神経伝達物質は測定できないので、血液検査など行われず医師の問診のみで行われます。その診断の際に基準となるのがDSM(精神疾患の診断・統計マニュアル)というものが利用されています。症状も軽度なものである適応障害、抑うつ、自律神経失調症といったものから、重度な非定型うつ、定型うつまで分類されており、医師によってもパーソナリティー的(性格的)なものか、本当のうつなのかのはっきりとした識別が難しく誤診も多いのが現実です。
そのため、近年は赤外線トポグラフィーを利用し、赤外線で脳血流を測定することでうつ病かどうかを診断する装置も登場しました。しかし、気分にも影響され日間変動や測定バラツキも大きくこちらでもはっきりと診断ができていないという指摘もあります。
基本的に、非定型うつとうつ病は神経伝達物質の異常も大きく起こっているので、少量の向精神薬でも症状が改善することが多々あります。しかし、医師から「うつ病」と診断され鵜呑みに信じて効果の実感もわからないのに向精神薬を長期服用し続けて症状をどんどん悪化させているケースも増加しているため注意が必要です。一度服薬し薬に慣れてしまうと、あとで減薬が大変になり元の健康状態に後戻りできなくなります。
自分が本当にうつ病なのかどうか、自分でも見極める必要があります。
うつ病とは異なる症状
自律神経の乱れ
数日間続く、肩こり、疲れ、頭痛、不眠、眠気、下痢・便秘、多汗、乾燥肌など
誰でもよくある症状。2週間以上続くことはない。
自律神経失調症
2週間以上慢性的に続く、肩こり、疲れ、頭痛、不眠、眠気、下痢・便秘、多汗、乾燥肌、めまいといった諸症状のこと。
内科にいっても異常個所がない場合につく。
機能不全家庭などストレス環境に育つと、中学~高校生あたりから起こりやすい。
遅刻、居眠り、夜型生活など。
身体的不調が強いもので、神経伝達物質の異常はさほどない。
加齢的なものでも起こり、男性は30代、女性は40代からかかりやすいともいわれている。
抑うつ
何かの悩み事(恋愛、借金、対人関係、家庭の問題、特性的(HSP,発達障害)など)、生きづらさがつきまとうことで憂鬱になる症状。悩みがなくなれば解消される。精神科へいくと様子見のため初診の診断名でつきやすいので、うつ病であってもつくことが多い。
適応障害
抑うつにも似ている症状。主に環境面が原因でつくことが多い。会社でのパワハラ環境、職場不適合など。環境が改善あるいは離れてストレスがなくると解消される。カウンセリング、職場転換で解消されるものの、投薬治療がなされて症状を悪化させるケースも多々あるので長期服用で症状を悪化させているケースも多々ある。しかし、ストレスから解消されてもなお辛い症状が残っている場合はPTSD,うつ病になる。
うつ病(気分障害)
何等かのショッキングな出来事(裏切り、失恋、人の死、離婚、産後、リストラなど)がきっかけ。
だいたい機能不全家庭育ちで過去にもいくつかのトラウマを背負って起こる「複雑性PTSD」。自律神経失調症を伴ない、神経伝達物質の異常があり、ストレスもそれほどないのに絶えず感情の不安定さと体調不良を伴う。20代~30代の人生の転機で発症しやすい。不安障害、社交不安障害(SAD),全般性不安障害、強迫性障害、発達障害的、睡眠障害といった症状などもいくつか併発している。親子関係との不仲・確執、愛情欠損がだいたいある。
非定型うつ・・・交感神経優位(ノルアドレナリン上昇)
交感神経が高まり、ノルアドレナリンが過剰でイライラ感、不安感が強く興奮状態が続くうつ病。
PTSDを強く伴い、不安障害(パニック障害)、全般性不安障害(GAD)、不眠症を伴う場合がほとんど。摂食障害、リストカットなど起こす場合もある。アクセルを踏みすぎで緊張や不安が増しているような状態。
ノルアドレナリンを抑える、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬が処方されることが多い。しかし抗うつ薬が処方されると逆にノルアドレナリン、セロトニンの過剰を招きやすくなり攻撃性、イライラ、自傷行為といったアクチベーションシンドロームやセロトニン症候群を招くこともある。
定型うつ・・・背側副交感神経優位(ノルアドレナリン減少)
副交感神経(背側迷走神経)が優位に作動し、ノルアドレナリン、セロトニンが減少した状態で、憂鬱感、倦怠感、解離性障害(非現実感、ぼんやり感)、物思いに老け込む、無気力、過眠といった症状を伴う。サイドブレーキをかけて車を走らせているような重々しい症状。外出する気が失せ旅行など楽しいことや趣味なども楽しめなくなる。定型うつ用に抗鬱薬が開発されたため、抗うつ薬で症状が改善する。(治っているわけではない)
非定型うつとは真逆の症状で、抗不安薬をのむとさらにノルアドレナリンが減少し息苦しさ、眠気を感じることもある。
自律神経の働き ポリヴェーガル理論 |
症状 | 神経伝達物質 | 処方される向精神薬 | |
非定型うつ | 交感神経優位 | PTSD,不安、動悸、不眠、イライラ | セロトニン? ノルアドレナリン増加 |
睡眠薬、抗不安薬 (ベンゾジアゼピン系) |
定型うつ | 背側迷走神経優位 | 解離性障害、憂鬱、過眠、無気力 | セロトニン ノルアドレナリン減少 |
抗うつ薬 (三環系、四環系、SSRI、SNRI,NaSSA) |
新型うつ
適応障害と診断される場合もある。
自己愛パーソナリティータイプ。(メンタルハッカーほっしー氏タイプがよい例)
従来のタイプは奉仕的、真面目なタイプで努力を惜しまないタイプであったが、それとは真逆の性格タイプ。
都市部、Twitter民、動画当事者、精神医療支持者に多い。
現実逃避癖が強く他罰的、批判的、根性がない、嘘をよくつく、利己的で狡賢い、愚痴が多い、賞賛欲求が強い、プライド高い、傲慢、わがまま、意識高い系うつ、自己評価が高い。過食、旅行など楽しいことは楽しめ、仕事は無責任で放棄しがち。
会社や医療福祉制度を利用したいがために、福祉制度やうつ病の知識はとても詳しい。「うつ病である」ことを好むので、「うつ病」であることをアピールし通院して投薬を好む。薬の副作用で過食になり肥満体型になる場合も。その症状のほとんどは「医原病」で症状を悪化させているが、それをうつ病と勘違いしている場合も多い。
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