うつ病から社会復帰への第一歩「精神科デイケア」とは

精神医療

精神科デイケアとは

うつ病などの精神疾患にかかると、長期休養あるいはやむなく退職するケースも多く、いきなり社会復帰をするにはとてもエネルギーがいることだと思います。
特に、長年1人暮らしの場合だと人と話すきっかけもないので、対人恐怖的な面も強くなっていき、いきなり人とコミュニケーションをとることも緊張してしまう人も多いのではないでしょうか?
社会復帰あるいはリハビリ用として、また生活リズムを整えるために病院施設にある精神科デイケアを利用することも有効です。
精神科デイケアとは「精神疾患を抱える方が社会復帰を目指し、心と体のリハビリを行う外来治療」のことです。近年は、医療機関にかかっている患者数も年々増加傾向にあるため、「精神科デイケア」を利用する人も増加傾向にあるようです。
精神科デイケアは、病気やけがを治すといったものではなく、運動やメンタルヘルス教育といった様々なプログラムを通じて人との交流機会を増やし、社会生活に慣れていくための機能向上を目指していくことを目的としています。

精神科デイケアの利用目的

精神科デイケアの主な利用目的は、社会復帰ですが、だいたい下記のようなところを目指しています。
まずは、軽いところで人と会って簡単な会話をしたり、生活リズムを整えるといったところから始まります。
次第に慣れてきたら、運動で汗を流したり、作業をし、作業所を利用して就労支援を通し復職へ向けしだいにステップアップしていきます。

  • 生活リズムを維持する目的
  • 再入院・再発防止目的
  • 集団に慣れることが目的
  • 仕事に就く・復職目的

精神科デイケアの利用に関する内容

利用適用者

精神科デイケアは誰でも利用できるというわけではありません。
精神科などに通院しており、精神疾患がみられるものの入院までは必要としない方が対象となっています。
以下のような条件を満たした方のみが対象となります。

  • 主治医が精神科デイケアの利用が効果的と判断している
  • 主治医が精神科デイケアの利用が可能である病状、状態と判断している
  • 単独の通所が可能
  • 施設側(精神科デイケア)が利用可能であると判断している

対象症状

 精神疾患症状
 気分障害(うつ病、双極性障害)、統合失調症、アルコール依存症、その他
 ※利用者の約70%は統合失調症の方が利用していると言われています。

利用料

利用には健康保険も適用されるため利用料は3割負担となります。
また、自立支援医療制度の対象にもなっているため適用されると、1割負担にまで軽減されます。

参考)私が利用した例(病院や地域によって異なります。)
 ・健康保険適用(3割負担):1200円/日
 ・自立支援利用(1割負担):400円/日

利用期間

一般的に、多くのデイケアでは決められた利用期間はなく、自己の自由判断で行われます。
また、施設によっては、プログラムを設定し明確な利用期間を設定しているところもありますので、病院に問い合わせ確認してみるといいでしょう。

利用までの流れ

デイケアを利用するまでの流れは、病院施設によって異なります。
多くの場合は、主治医に相談後、施設担当者と調整しながらすすめていく流れとなっています。
その後、デイケア担当者によって、個人にあったプログラム計画を設定していく場合もあります。

  1. 主治医に相談
  2. デイケア担当と相談
  3. 施設の見学
  4. 利用開始

プログラム内容

プログラムの流れ

一口に精神科デイケアといっても各施設によって用意されているプログラムは異なります。
内容も、認知行動療法、栄養学、映画といった学習的なことから、マインドフルネス、ヨガ、体操、バトミントンといった身体を動かす内容のもの、折り紙を折る、料理をつくるといった作業など様々です。
いきなり、丸1日参加は難しい場合は、最初に1コマ2時間程度の「ショートケア」を週1回程度で受け、次にデイケア、就労とステップアップしていくものが多いようです。

ショートケア→デイケア→就労準備(作業所A/作業所B)

    目的
①生活週間改善 ショートケア
 1コマ/日
・生活リズムを整える。
・対人関係に慣れる
・就労準備の前ステップ
デイケア
 終日
②就労準備 ・就労移行準備
 作業所A、作業所B
・就労移行支援
作業所に行って作業

参考例:仁明会クリニック

一日の流れと週間プログラム | 精神科デイケア とも | 仁明会クリニック
TOP> 精神科デイケア とも> 一日の流れと週間プログラム 一日の流れと週間プログラム 利用できる日と時間 開所日:月曜~土曜日(休日:日祝) デイケア: 9時30分〜15時30分(昼食【無

 

就労準備とは?

「長期間働いていない」
「コミュニケーションに自信がない」
「働く自信がない」
「働きたいけれどどうしたらいいかわからない」
などといった働くことに悩みを抱える方に、就労に対する不安を解消しながら就労に向けて支援をする事業です。
主に「作業所A」「作業所B」といった分類がされ、自分にあった場所で労働を実際に行います。
作業内容も様々で、自分の特性にあったものを選ぶことができます。
まず、事前に担当者と計画を立て、事前に見学をしながら進めていく事が多いです。

  内容
「作業所A」 比較的難易度の高い仕事に着き、仕事を行います。1日4時間程度働き、実際に働いた分だけそれなりの賃金がもらえます。
「作業所B」 チラシ折り、チラシ配り、アンケート集計、箱たたみといった軽作業のものが多く、生活リズムを整える場合などや手作業を行うことで身体を慣らすといったものです。好きな時間に行け負担も少ない反面、賃金もほとんどでないというデメリットがあります。(多くて月1~2万程度)